ゆびさきちまちま

　忍者とは！かくあるべきか！！！

　尊敬するよ！師匠！

　よりによってユリユリか！！ｗ

　私が恐れ、慄き。そしてできぬとあきらめた姿に…いともたやすく変化するなんて……っっ

　やばい尊敬する！超尊敬する！うっかり本職牙忍になるかもしれない！（しないけど）

　てゆか、なんだ、そのかわいらしさ。かわいい票狙いか。
　どういう了見だ師匠。そんなかわいくなってどうする。花嫁や花魁から、どう派生したんだ。
　
　あまりにびっくりして、師匠で日記が埋め尽くされた。弟子でよかった、ニンジャ式（何
　
　来年はがんばろう、うん。

　さりとて、するべきこともなく。
　なーんとなく日が暮れて。


　そして周囲に、お化けのランプが浮かび上がる。

　陽気なお化けがいっぱいの夜。


　遠野の、結社にある自分の部屋に帰り。
　
　お供するよ、ししょぉぉぉぉ！！！
　
　などと叫んだかどうかは知らないが、ああもやすやすとユリユリコスプレを諦めた自らの惰弱な精神を鍛えるべく、取り出しましたる大胆くのいち。
　なんかこれを着ると、異性を誘惑できるらしい。っていうか、誘惑されるもんならされてみろとか羽根は思うが、その辺はいつまで経っても色香が漂わない人間の僻みである。
　まぁぶっちゃけ、術式防具なので羽根には必要のあまりない代物なのですが。

　それを目の前に持ちつつ思うのは、すでに引退した本職忍者の先輩。

「澪せんぱいはむちむちだった・・・・・・」

　ええ、むちむちでした。何気にナイスなばでーをお持ちでした。ちまかったけど。
　とか、今でも聞かれたら全身の骨でも砕かれそうなことを考えつつ、しみじみと思い出に浸ってみる。

「はねこは元気デス…澪せんぱいはなにをしてますかー」

　あはは、うふふ。とか大胆くのいちを目の前に現実逃避。
　ちなみにたぶん澪せんぱいは裏家業で、世界残酷物語も平気で繰り広げてる気がする。

「そういえば、いままでいろんなせんぱいがいたなー」

　いたね、戦闘狂からライダー志望。暴君もいれば……
　てゆか、そんな風に遠い目で思い出すけど。ほとんどが現役で学園に行けば会えたりするミステリー。いや、進学やら就職やらはしているのだろうが…。
　と棚上げしてみるが、羽根も学園に行けばなぜか会える類の卒業生だったりする。

　とまぁ、大胆くのいちを目の前に現実逃避すること半時。
　じゃあがんばってみようかな、と思ったとき羽根は考えた。
　……しかし、これであのユリユリニンジャのお供をしても、その心意気の半分にも満たないのではないか？
　むしろ、あのユリユリニンジャの心意気を習うには、もはやはっぱチルチルさん並にがんばらなきゃいけない気がする。
　まぁそもそも、お供することにはまったく意味がないから。気にするだけ無駄なのだけど。
　
　「……ごめんね、ししょー！不出来な弟子で！」

　瞬殺で諦めて、大胆くのいちをぽいっ。
　
　とりあえず、お菓子を撒くために作った南瓜クッキーと一口サイズのスイートパンプキンの籠を持って。
　赤頭巾のように、夜の森へと駆け出した。